500年の復讐


「――――それから時々約束を取り付けて会ったりはしたんです。何か、惹かれたんです、彼女に。そこらの馬鹿な良い家の娘じゃない、きちんと自分を持っていて、時代の流れに流れない彼女に」
 彼の顔に嬉しさが窺える。良い人だったのだろう。
「そして私はルーシーのお父さんを説得し、結婚しました。貧しい下町の理髪店の生活に、彼女は何一つ文句は言いませんでした。貧しいながらも、私達は幸せだった―――――」
 すると彼の顔に影が差し、
「私は愚かだった。私達の生活に影が迫っていることも分からなかった―――」
 彼の拳に力が入る。
「ターピン判事です」
 語気は悲しく、自分をいさめるように荒く、そして判事に向けられている。
「彼は美しいルーシーに目をつけ、私を流刑地に送りました」



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