500年の復讐


「それから私は15年振りにこの倫敦の街の土を踏みました。脱獄したんです。海を漂っていると船乗りの少年に会いましてね、乗せてもらったんです」
 ――――――――。
「15年。15年です。私はただ、妻子と貧しくても平穏に幸福に暮らしていたかった。ただそれだけだった――――」
 彼の声が濁る。涙が炎で輝く。
「そしてここの大家のミセス・ラベットに訳を聞いたんです。妻は自殺、娘は判事によって幽閉されていると。私は判事に復讐を誓いました。私の人生は1人の男の手にによって壊されたのだと。永遠に――――」
 彼は涙を拭うと椅子に座り、
「―――――さて、私の話は終わりです。今腕を上げているところです。"他の者"で。貴女は?ぜひ聞いてみたい」
「私?随分とスペタクルよ」
「それは楽しみですね。さ、夜は長いです」
 彼は椅子に座り直した。




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