500年の復讐
終わりのハジマリ
遠くに雲の間から光が差しているのが見えた。
門の前に私に手を振っているあの男が見える。私は手を振り返し、走り出した。
「何を話されたんです?」
「そんな気にすることない。大丈夫」
「そうですか」
そう言って歩き出した。
孤児院を振り返る。あの樹が見えた。
さよなら。
サーシャ。
始めまして、
サーシャ。
新しいサーシャは、
古いサーシャの念願だった
"復讐"を始めます。
だから安心して、
おやすみなさい。
風が吹いて、樹が揺れる。
まるでさよならと言っているようにも、新しい門出を祝っているように見えた。
だんだん晴れ間が見えてきた。午後は晴れるだろう。