500年の復讐
「『あの子』の新鮮な純血さ。いや、魔女の息子だから、純血とは言えないね」
背筋が凍る。
『あの子』の純血――――
すると異端審問官が樽の中に両腕を突っ込み、『何か』を抱いた。いとおしそうに『何か』に掛かった純血を拭っている。
何なんだ、こいつは。さっきとどう見ても違う。何かに取り憑かれたようだ。周りにいる男たちが震えだし静かに部屋から出て行く。
どうやら彼らはこの男の暴走を止められないらしい。