500年の復讐
全てを買い終わり、孤児院へ向かっていると雨が額を打った。とうとう降り出してしまった。早くしなければ。しかし両手にかかえている紙袋が重くてうまく走れない。
大通りから裏路地に回るとあちこちに壁に寄りかかっている人の姿があった。どれも生気はなく、ただ死ぬのを待ち、息をしているだけで動く気力もないのだろう。
すると男の人が歩いてくるのが遠くに見えた。随分と明るい色調の服を着ているせいで、暗い裏路地に浮いている。
すると倒れている人の前にしゃがみ込み、息をしているのを確認している。医者だろうか?こんな人達を助ける医者なんてこのご時世彼ぐらいだろう。
すると彼は腰の皮のポシェットから小さな革張りの箱を取り出した。中に何が入っているのかは分からない。だが大事そうに、愛おしそうに箱を撫でている。