【短集・ホラー】白紙の小説
・reverse
目が覚めた時
俺は真っ白な世界に居た
「……………」
ゆっくりと上体を起こし、辺りを見渡してみる。
ここは病院………?
独特の薬品の香りと
無機質な部屋
そこにある白いベッドに
寝転がっていた俺。
「目が覚めましたね」
っ!?!!?
急に隣から、しわがれた声。
振り向くと、70歳くらいに見える、真っ白な白衣を身に纏った老爺が居た。
見るからに医者だ。
何で俺はこんなところに居るんだろう……
「あなたの名前は?」
「………岡本隆」
「あなたの職業は?」
「…………鳶」
医者から質問され、
俺は戸惑いながら答えた
「岡本さん、あなたは、鳶でマンションを建設中、足場を踏み外して落下されました」
…………そうなのか……
一命を取り留めたのか……俺は……。本当に良かった………
ホッとすると、医者が口元に笑みを浮かべてこう言った。
「良かったですよ。
奇跡的に足の骨が折れただけだ。手術すればすぐ治る」
確かに足が痛んで違和感を感じていたが……骨折していたのか。