【短集・ホラー】白紙の小説


…………な……

「死んでる………?」


意味が分からない……




「全く、理解力が皆無な人ですね……。私はもう死んでるからこの、現実とは逆の病院に居るんです。私は普段、あなたのもう一つ隣の病室に居ます」


………おい……
それって……………




「私も今は魂だけです。体は隣の病室で眠っています。」

「お前も………!!
俺が売られた後に……売られるのか…?」


俺の問いに、
医者は穏やかに頷いた




「私は生きてる時、医者でした。生前、患者の病気が移って死んでしまい、この病院に来ました。その時に医者だった方に、お前は生前医者だったから、この病院の医者になれと言われました」


…………
言葉が、出ない




「私の病室の隣に、新しく死人がやってきました。生前医者だった人です。昨日、私はこの病院のシステムを話しました。

私は病気で死んだのでキズが無いから手術する必要は無い。

だが、他の患者達の手術をして、体を綺麗にして商品にしてやれと話しました」



医者は俯いていた顔を上げ
俺を見つめた




優しい表情だった


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