【短集・ホラー】白紙の小説
まだ話がある。
最初読んだ時は気が付かなかったが、どうやらまだ話があるらしい。
紙がまだ僅かに下にあった。
どんな話だろうか。
私はホラー小説だと言うのに、ワクワクしながら紙を捲った。
……………ん?
しかし、そこには紙があるだけで、文字がまるで書かれていなかった。
何だこれは……
ミスか?
その作家が間違えて、何も書いてない原稿用紙を私によこしたのだろうか。
しかし、数枚もあるとなると……
とりあえず捲ってみるが、2枚目も3枚目も、全て白紙だった。
やはりミスか?
こんなに白紙が……
私は一応、最後まで紙を捲ってみることにする。
編集長室に響く、紙を捲る音。
一向に文字は現れない。
…………やはりミスか……
私は最後の紙を捲った。