空のいろ
 いつものように会社に出社し、パソコンを立ち上げる。メールソフトを起動させ、未読メールを確認する。
 未読メールは、2件。
 1件は取引先から。そして、もう1件は…。

「笹木課長…」

 笹木課長から。
 宛先は、私宛の訳はなく横浜支店全ての従業員宛。

 メールの内容は、彼らしい内容だった。
 お世話になったお礼、後任のフォロー、私たちへの励まし。最後に、ここで皆さんと楽しく働けたことを幸せに思います。と締めくくっている。

 私は実感がわかなかった。お昼休みに屋上にいれば、彼がいつものように現れるんじゃないかと。


 だけど、このメールを見れば、実感する。

 もう、会えない。

 彼が遠いところへ行ってしまったんだ、と実感が湧く。


 でも、どこかホッとしていた。

 私には、自分で彼との距離をとることなんてできなかった。

 寂しいけど、悲しいけど、心のどこかで、これでよかったとホッとしていた。









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