愛しい遺書
ダルい体をやっと起こし、クローゼットに向かおうとすると、携帯が鳴った。電話の相手は翔士だった。あたしは気まずくなって携帯を置き、鳴り止むのを待とうとした。
「出りゃいいじゃん」
煙草に火を付けながら明生は言った。
「……」
あたしはゆっくりと携帯を掴み、出た。
「もしもし」
「あ……翔士だけど」
「うん…」
「寝てた?」
「……うん」
意味は違うけど、寝てた事には間違いない。
「ワリぃな。起こして」
「ううん。気にしないで」
「……声、聞きたくなって」
「アハ。そーなんだ」
「これといってなんもないんだけど」
「……なんか、緊張してる?」
「……酒抜けたからな」
「アハハ」
明生が隣で聞いていると思うと、なんとなく気まずく感じたあたしはまたクローゼットに向かおうとしたが、明生に腕をロックされた。明生は吸っていた煙草を揉み消すと、また首筋に噛み付いてきた。あたしが無理矢理離れると、明生は悪戯っぽく唇の片側の端を上げて笑った。あたしの心はジワッと潤んで、翔士と会話していた事を一瞬忘れた。
「キキ?」
「あ。ごめん。寝呆けてた」
かなり苦しい言い訳だと思ったが、翔士は素直に信じてくれた。
「今度ちゃんと会ってよ」
「……うん」
「いや?」
「ううん。やじゃないよ」
「よかった……また電話する」
「うん」
「……じゃあ」
「うん。ばいばい」
電話は切れた。あたしは携帯を置くと何も言わずクローゼットに向かった。明生もベッドから離れると、Tシャツを着た。
「どこ行くの?」
「え?」
「買い物」
「あ……サティ行く」
そう言うと明生は自分の車にスターターでエンジンをかけた。
「仕方ねぇ。乗せてってやるよ」
「……いいの?」
「……オレのせいで出るの遅くなっちまったからな」
そう言うと明生はまた唇の片側を上げて笑った。
「ついでに婆パンも買ってくるべ」
「……バカ」
あたしは戯れるように明生をパンチした。
「出りゃいいじゃん」
煙草に火を付けながら明生は言った。
「……」
あたしはゆっくりと携帯を掴み、出た。
「もしもし」
「あ……翔士だけど」
「うん…」
「寝てた?」
「……うん」
意味は違うけど、寝てた事には間違いない。
「ワリぃな。起こして」
「ううん。気にしないで」
「……声、聞きたくなって」
「アハ。そーなんだ」
「これといってなんもないんだけど」
「……なんか、緊張してる?」
「……酒抜けたからな」
「アハハ」
明生が隣で聞いていると思うと、なんとなく気まずく感じたあたしはまたクローゼットに向かおうとしたが、明生に腕をロックされた。明生は吸っていた煙草を揉み消すと、また首筋に噛み付いてきた。あたしが無理矢理離れると、明生は悪戯っぽく唇の片側の端を上げて笑った。あたしの心はジワッと潤んで、翔士と会話していた事を一瞬忘れた。
「キキ?」
「あ。ごめん。寝呆けてた」
かなり苦しい言い訳だと思ったが、翔士は素直に信じてくれた。
「今度ちゃんと会ってよ」
「……うん」
「いや?」
「ううん。やじゃないよ」
「よかった……また電話する」
「うん」
「……じゃあ」
「うん。ばいばい」
電話は切れた。あたしは携帯を置くと何も言わずクローゼットに向かった。明生もベッドから離れると、Tシャツを着た。
「どこ行くの?」
「え?」
「買い物」
「あ……サティ行く」
そう言うと明生は自分の車にスターターでエンジンをかけた。
「仕方ねぇ。乗せてってやるよ」
「……いいの?」
「……オレのせいで出るの遅くなっちまったからな」
そう言うと明生はまた唇の片側を上げて笑った。
「ついでに婆パンも買ってくるべ」
「……バカ」
あたしは戯れるように明生をパンチした。