愛しい遺書
今日こそ何も起きないわけがない。あたしはそう感じた。翔士といる時は、翔士の事だけを考えると決めた。だから拒む理由なんてない。
「うん。」
あたしは頷いた。
翔士は安心したような顔を見せて、シフトをドライブに入れた。
「じゃあ、家に寄ってくれる?着替え持ってくから」
ミニスカートじゃ胡坐はかけない。あたしたちは一度家に向かった。
家の駐車場に車を止めてもらい、車から降りた。明生の車はあった。寝室を見上げると、ダウンライトも枕元のスタンドも光ってなかった。きっと車を置いて出掛け、帰って来てないか、あの女とどこかに行ったんだ。あたしは悪酔いした明生を思い出して、胸が痛んだ。
部屋に入り、寝室のクローゼットからTシャツとジーンズをとり、バッグに入れた。脱衣室に行き、メイク落としと化粧水、乳液も入れた。部屋を出て玄関のドアに鍵を掛け、翔士の車まで戻った。
おやすみ明生。
悪酔いしたせいで、きっと気分も良くないはず。でも、眠りについたらせめていい夢ぐらい見て欲しい。あたしはそう願うと、翔士の車に乗り込んだ。
翔士の家に向かう車の中、あたしたちは普通に会話をした。途中、ずっとバイザーモニターに映し出されていた海外レゲエのPVにあたしは夢中になり、「見ててもいいよ」という翔士の言葉に甘え、会話をするのも忘れて見ていた。
DVDが一週し、何時か気になって時計を見ると、もうすぐ午前5時になるところだった。空は完全に朝を迎えて、雲一つない青空が広がっていた。あたしは窓を10センチ程開け、夏の訪れを報せるような草木の蒸した匂いをおもいきり吸い込んだ。
「夏の匂いがする」
そう言って翔士は運転席側の窓も開けた。
「翔士もわかる?」
「毎日外で働いてるからわかるよ。人それぞれ表現は違うだろうけど、春は雪が溶ける匂いだろ?夏は草が蒸した匂いで、秋は草が枯れた匂い。んで、冬は空気が凍った匂い」
考えている事が見透かされてるだけじゃなく、感じ方まで全く同じ事にあたしは驚き、可笑しくなった。
「うん。」
あたしは頷いた。
翔士は安心したような顔を見せて、シフトをドライブに入れた。
「じゃあ、家に寄ってくれる?着替え持ってくから」
ミニスカートじゃ胡坐はかけない。あたしたちは一度家に向かった。
家の駐車場に車を止めてもらい、車から降りた。明生の車はあった。寝室を見上げると、ダウンライトも枕元のスタンドも光ってなかった。きっと車を置いて出掛け、帰って来てないか、あの女とどこかに行ったんだ。あたしは悪酔いした明生を思い出して、胸が痛んだ。
部屋に入り、寝室のクローゼットからTシャツとジーンズをとり、バッグに入れた。脱衣室に行き、メイク落としと化粧水、乳液も入れた。部屋を出て玄関のドアに鍵を掛け、翔士の車まで戻った。
おやすみ明生。
悪酔いしたせいで、きっと気分も良くないはず。でも、眠りについたらせめていい夢ぐらい見て欲しい。あたしはそう願うと、翔士の車に乗り込んだ。
翔士の家に向かう車の中、あたしたちは普通に会話をした。途中、ずっとバイザーモニターに映し出されていた海外レゲエのPVにあたしは夢中になり、「見ててもいいよ」という翔士の言葉に甘え、会話をするのも忘れて見ていた。
DVDが一週し、何時か気になって時計を見ると、もうすぐ午前5時になるところだった。空は完全に朝を迎えて、雲一つない青空が広がっていた。あたしは窓を10センチ程開け、夏の訪れを報せるような草木の蒸した匂いをおもいきり吸い込んだ。
「夏の匂いがする」
そう言って翔士は運転席側の窓も開けた。
「翔士もわかる?」
「毎日外で働いてるからわかるよ。人それぞれ表現は違うだろうけど、春は雪が溶ける匂いだろ?夏は草が蒸した匂いで、秋は草が枯れた匂い。んで、冬は空気が凍った匂い」
考えている事が見透かされてるだけじゃなく、感じ方まで全く同じ事にあたしは驚き、可笑しくなった。