極上な恋をセンパイと。
噂のセンパイ
『人生を 危険にさらせ!』
と、ある偉人は言っている。
あたしはその言葉通りの、
ある意味危険人物と対面していた。
「――お前、名前は?」
まるで氷のような冷たい視線。
それを全身に受けながら、なんとか声を振り絞る。
「……さ、佐伯渚です」
「ふーん。知らねえな」
さして興味なさそうに視線を逸らしたのは、ほんの数分前に初めて会った男の人。
オドオドしながら名前を告げたあたしに、目の前の彼はふんと鼻で笑った。
な、なんですか、そのバカにしたような笑いは!
ムッとしたあたしなんかお構いなしの彼は、顔を逸らしたまま黒いスーツのズボンに片手を突っ込んだ。
つまらなそうに、首なんかまわしちゃってるし。
「……」
バレないように、そっと彼を盗み見る。
初めて会ったんだけど、あたしは彼を知っていた。
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