極上な恋をセンパイと。
「ダメだ」
センパイは閉じた資料を机の上に放り投げてあたしに視線を移した。
「なにを見てやった? いいか、こんなにダラダラと書いてたらパッと見てわかんねぇだろ。もっと簡潔にまとめくちゃ意味ねーの」
「……す、すみません! もう一度やり直します」
悔しさで体がカアアと熱くなる。
でも、確かにあたし自身腑に落ちない箇所も多々あったんだ。
そう言って、資料を持ってパソコンに向き直るとセンパイがスッとあたしの手から資料を抜き取った。
「お前飯食って来い。あとは俺がやる」
「え?で、でも……」
「俺がいいって言ってんだ。気が変わらないうちに早く行け」
センパイはシッシと手で払う仕草をすると、またキーボードを打ち始めた。
「……じゃあ、行ってきます」
「ん」
あたしを見ないまま素っ気なく答えた久遠センパイ。
なに?
なんで?
ダメなのはあたしなのに。
なんでセンパイがフォローしてくれるの?
お財布を持って立ち上がったあたしはドアまで行くと、その場で足を止めた。
どうしよう……。
あたしだけお昼に行くなんて……。
ひとりパソコンに向かう背中を見つめたまま、あたしは何も言えずにオフィスを後にした。