極上な恋をセンパイと。

えっ!


それを見た瞬間、身体がガチガチに固まっていく。



「っはは。そういうところだよ。俺にそんなふうに言うの、お前くらいだぞ」

「………」



頬杖をついたまま、センパイはそれはそれは楽しそうにあたしを見上げる。
言い返さないあたしの事を面白がっているのか、それとも純粋に考えを巡らせているのか。

センパイは頬杖を付いたままうーん、と唸る。


……。

ど、どーしよう……。
どうすればいいの?


頬杖をついていないその手が……ですね、
さっきから……、あたしのスカートを、スカートの裾を……クシュクシュしてるんですけど!


フレアスカートがセンパイの指先で弄ばれるのを、なんだか直視出来ずに。
嫌でも意識はそこに集中してしまう。


どういうつもり、なの?

センパイ……!



「で?佐伯はなんでこの業界入ったの?」

「え?」



ハッと現実に引き戻された。

センパイの手が、あたしからすっかり離れたからだ。



「……」

「……佐伯?」


やだ……あたしってば。

意識しすぎだよね。
ひとりでドキドキして、恥ずかしい。

気づかれないようにため息をついて、あたしは口を開いた。


「中学生の時に……えっと、毎月ファッション雑誌を買ってたんです。それで、その雑誌がすごくキラキラしてて……。
女の子が小さなアイテムひとつで、幸せになれるんだなーって思って。
あたしもそんなふうに、どんな小さなものでもいい、女の子を幸せに出来るものを作る仕事がしたいなって、そう思ったんです」


そうだ。

あたしはそう思ったから、ファッション関係のこの仕事を選んだんだ。

事務しか出来なくて、いつの間にか諦めてた……。
今は久遠センパイみたいな、すごい人の下で働けてる。


あたしの夢は、一歩ずつ進んでいるんだ。
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