極上な恋をセンパイと。

センパイ……。
どうしてセンパイは

あたしを部屋に誘ったんですか?


いい大人の男女がふたり。
美味しいお酒を飲んで、ほろ酔いで……。


期待……しちゃうじゃないですか。

何かが起こるんじゃないかって。
あたしたち、なにか変わるんじゃないかって。


あたしは。
その場の雰囲気でどうこうなってしまう恋愛は、したくないの。


曖昧なまま、流される恋愛はしたくない。
そう、思ってるのに。



なんで。
なんであたし、こんな気持ちになってるの?


あの時みたいに、キスしてほしいなんて。
センパイにならその先だって……。


「……」



気持ちが溢れてしまいそうで、それを抑えるように口をきつく引き結んだ。



「佐伯?」



黙りこくったあたしを変に思ったのか、センパイが顔を覗き込んできた。

自分の気持ちに気付いてしまったあたしは、きっと……。
言い訳できないくらい、真っ赤になってしまってる。

気づかれたくない、こんなあたし。



目が合う瞬間、あたしは勢いに任せてフルフルと首をふった。

長い髪が、頬にあたり酔いが回る。


でも、この想いをセンパイから隠せるなら。
今はそれでいい。

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