極上な恋をセンパイと。
「え? 和泉?」
「はい。 久遠センパイはいつもお昼はどうしてるんでしょうか……」
会社近くの定食屋で、他のセンパイ達に誘われて一緒に食事をしていた。
「そうだなぁ。仕事がある時はいつもあんな感じかな。自分の事より仕事ってやつだからね」
「そうですか……」
そう言って、コッテリとした生姜焼きを口に運んだのは、柘植さんだ。
彼は久遠センパイと同期で、前も一緒に仕事をしていたらしい。
あたしはまだ湯気の出てる湯呑を手にして、それを見つめた。
何かご飯買ってこうかな……。
うーん……
でも余計なお世話かも……。
「ぷっ」
黙って考え込んでいると、突然柘植さんが吹き出した。
「柘植さん?」
「気になる? 和泉の事」
「……」
頬杖をついて、なんだか意味深にあたしを覗き込んだ柘植さん。
気になる?
「……、ちち、違いますよ!気になるって言うのは、た、ただあたしはセンパイが仕事をしてるのに申し訳なくてですね」
「あっはは。わかったわかった。そんなに否定しなくても……でも正直でいいね、渚ちゃん」
「からかわないでくださいっ!」
柘植さんは、久遠センパイと違ってすごく気さくで話しやすい。
人懐っこいと言うか、物腰が柔らかいからだろうか。
いつもニコニコとしていて、ホッと出来る空気をつくってくれる。