極上な恋をセンパイと。

まるで火がついたみたいに赤くなる真山くんの顔。


「え……」


色白の彼だからすぐにわかった。

ギョッとしたように目をみはった真山くんを茫然と眺めてしまった。


「……真山くん……白鳥さんが好きなの?」

「ちょ、ちょっと渚さん!もうちょい声のトーンダウン!」

「あ」


真っ赤な真山くんが、必死に人差し指を口元に添えた。

なんだ、そうだったんだ。
それならそうって、センパイも教えてくれたらいいのに。


でも白鳥さんは……。


そこまで考えて、真山くんを見上げた。
あたしの考えがわかったのか、真山くんは眉を下げて頬を緩めた。


「俺、諦め悪いんで」

「……」


そう言った彼の瞳は真剣で。
なんだかグッと来てしまった。




「みんなおはよう!ちょっと集まってくれ」


オフィス内を真夏に引き戻すような声で現れたのは、渡部部長。
色黒に真っ白な歯をキラリと光らせて、部長は一枚の紙をホワイトボードに張り付けた。


ん?

集まってきたみんなが眉間にシワを寄せる。
そこには大きな文字で、こう書かれていた。



「……草津……?」

「年末!忘年会を兼ねた慰安旅行だ!」



い、慰安旅行?

一番下に、【詳しくは渡部まで】と書いてある。
と、言う事は……部長が考えた企画発案者?

みんなの中に紛れて眺めていると、部長があたしの肩をポン!と弾いた。


「喜べ佐伯! 飲み放題にしたからな!」

「はい!?」


飲み放題っ!!?
部長!どうしてそれをあたしにっ……。


部長にまで”のんべえ”と思われている事実にがっくりと肩を落とした。
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