極上な恋をセンパイと。


「んっ、んー!」


ようやく午後にやらなければならない仕事を片付けて、両手をあげて固まった背中を伸ばす。

ボキボキ言いそうな体。

そろそろマッサージ行こうかなぁ。
なんて肩を回しながら考えていると、冷たい一言が飛んできた。



「何サボってんだよ」


う、この声は……。
思わず姿勢を正して振り返る。


「さ、サボってなんていませんよ。今終わったんです!」

「ふぅん」


あたしの反論なんてさして気にもせず、アーモンドの瞳を細めたのは、仕事の鬼こと、久遠和泉。

椅子に座っているあたしの背後に回ると、そのままデスクに片手をついてパソコンの画面を覗き込んだ。



「……っ!」



すぐ後ろに感じるセンパイの気配に、ドクンと心臓が飛び跳ねた。



ドックン

ドックン



今、オフィスにはふたりきり。
背中に感じる体温に、嫌でもあの日のキスが脳裏によぎる。


「……」


こ、こんな時に、あたしのバカー!
後ろにいるセンパイに、真っ赤になったこの顔が見られないのがせめてもの救い。


すぐ傍にあるセンパイの手。

なぜか見られてる気がして、息がつまりそうだった。


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