極上な恋をセンパイと。
縛り付けられたみたいに固まっていると、突然センパイの気配が遠くなった。
「……」
恐る恐る顔を上げると、離れていくセンパイの後姿が。
ホッとしたような、寂しいような。
そんな複雑な気持ちになって、ちょっとだけ腹が立つ。
なによ……。
あの思わせぶりな態度。
距離感おかしいんじゃないの?
頬を膨らませて、あちこちに跳ねたえりあしを睨んでいると、クルリとセンパイが振り返った。
ビク!
いきなり目が合って、思わず小さく飛び上がる。
そんなあたしに、センパイの切れ長の瞳がグッと細められた。
「お前、俺の話聞いてた?」
「え?」
は、話?
キョトンと瞬きをしたあたしに、センパイは呆れたようにため息をついた。
「今日、あいてるか?」
「へ?」
「このあと予定あんのかって聞いてんの」
予定……。
それって、ご飯に誘ってくれてるのかな。
センパイが?
ウソ……。
センパイはコピー機から用紙を取り出しながら、ちょっとだけ気だるそうにあたしを眺めた。
「……で。どうなんだよ」
「あいてます!」
「それなら、返事はすぐ返せ」
「は、はい。すみません」
うう、ダメだ。
顔がにやけちゃう。
だって、今あたしから顔を背けたセンパイ。
その頬が、ちょっとだけ赤くなってたような気がしたんだもの。