極上な恋をセンパイと。

冷静になりたくて買ったブラックの缶コーヒー。
一口飲みこんで、ダン!とテーブルに置いた。



「……白鳥百合と行くならあたしを誘うなっての!」




あんなに密着して……。
なによ、鼻の下まで伸ばしちゃって……。
センパイも胸の大きい人が好きってこと?

すみませんね、自慢できるほど大きな胸でなくて!

あーもう、怒りが収まらない。
それどころか、さっきのセンパイと白鳥百合の光景が壊れた機械のように、頭の中で何度も繰り返えされる。



「はああ」


嬉しかったのになぁ……。

悔しくて、キュッと唇を噛みしめた。
そうしていないと、次から次へと醜い感情が顔を出してしまいそうだ。


帰ろう。

ここでこうしてても仕方ないし。
コンビニ寄って、ビールでも買っちゃおうかな。


そう決めて、もう一度缶コーヒーに口をつけたその時。
ゆっくりと休憩室の扉が開いて、誰かが顔を覗かせた。




「あ……、時東課長。お疲れ様です」

「お疲れ様。 今日も残業?」


課長はニコリと微笑んで、自販機に小銭をいれた。


「いえ……そう言うわけじゃないんですけど」


時間を置かないと、センパイ達に会ってしまうかもしれない。
モゴモゴと口ごもっていると、飲み物を手にした課長があたしの前に座った。

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