極上な恋をセンパイと。

……。


「……課長、疲れてます?」

「え?」


唐突にそんな事を言ったもんだから、時東課長はキョトンと首を傾げた。
メガネの奥の、切れ長の瞳が不思議そうに瞬いている。

それが可笑しくて、クスクス笑いながらあたしは視線を落とした。


「だって、課長はいつもブラックなのに」

「ああ、これ」


あたしの言いたい事がわかった課長が、苦笑しつつ手に持っていた缶を持ち上げた。


「疲れた時って、無性に炭酸飲みたくなりますよね」

「ビールって意味?」

「……課長まで。あたしの発言をアルコールに繋げないでもらえますか?」

「はは」


思わず「む」とした顔をすると、時東課長は肩を揺らした。


キレイで整った顔が、クシャリと崩れる。
時東課長は、久遠センパイと違って普段から柔らかい空気を纏ってるから、笑うとそれがより和らぐ。

胸の中の黒い感情が、ちょっとだけ癒された気がしてホッとした。



「あ、そうだ。佐伯、疲れてる俺に付き合ってくれない?」


……へ?

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