極上な恋をセンパイと。

ーーー次の日。


今朝は白鳥百合には会わなかったけど、それ以外はいつも通り。
いつも通りの厳しいセンパイに、いつも通りの厳しい指摘。

なにも変わらない日常。


だからあたしは、油断してた。






午後から開かれた定例会議。
上役達を相手にプレゼンし、柘植さん、真山くんと発言していく。

あたしはお茶だしを済ませ、センパイの隣へ座った。
センパイと言えば、ジッと手元の資料に目を通していて。




キレイだな……。

スッと通った鼻筋。
長い睫毛に涼やかな瞳。

血色のいい肌に、薄い唇。
真剣な眼差しは、時折上がり発言者を捉える。




「……」



あたしは、自分でも気づかないうちにその横顔をジッと見つめてしまった。




「じゃあ次回は12月5日に」



その声でハッとした。

気がつくと、みんなぞろぞろと部屋を出て行くのが目に入る。


うわ、あたし何会議中にボーッとしてるの。
慌てて席を立つと机の上の湯のみを片付けた。


もぉ、しっかりしなくちゃ!

窓に駆け寄りブラインドを下ろす。
シャッ、て音と共に明るかった部屋は薄暗くなった。



そして、会議室を出ようと振り返ったその時だった。





……え?




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