極上な恋をセンパイと。
曖昧なカンケイ
センパイに、2度目のキスをされてからというもの。
仕事の事となると、久遠センパイはやっぱり厳しくて。
いつも通りで……。
あたしの心は乱されまくりなんだけど。
だからこの前のキスも気まぐれなのかなって否定した頃に、そんなあたしを引き戻すようにセンパイは不意にその距離を縮めてきた。
小さな空間にこれでもかってほど人が詰め込まれてる、エレベーターの中。
「……はあ」
周りの人に気付かれないように、小さくため息を零す。
「お疲れ様」
「お疲れ」
そんな挨拶をぼんやりと聞いていると、不意に甘いムスクの香りに包まれてハッと我に変える。
ギュウギュウ詰めのエレベーター。
その1番奥に押し込まれたあたしの隣には、いつの間にか久遠センパイが並んで立っていた。
ドクン!
センパイは、ガラス張りになったエレベーターに体を預けたまま、真っ直ぐに前を見据えている。
気付いて、ない?
あたしも視線を戻すと、突然右手に触れたぬくもりにビクリと小さく飛び跳ねた。
「……?」
「……」
たまたま、かとも思ったけど、そのぬくもりはいとも簡単にあたしの手を包み込んだ。
せ、センパイ?