極上な恋をセンパイと。
えっと、久遠センパイは……。
ヒョイっと後ろを覗く。
あたし達の2つ後ろの席に、無表情のセンパイが頬杖をついて窓の外を眺めていた。
顔に書いてある。
『面倒臭い』……って。
でも……。
「ほんといい男よね、久遠和泉」
「……うん……」
ん?
ぼんやりしたまま、頷いてハッとした。
その瞬間、外を見ていたセンパイの瞳が不意にあたしを捕えた。
ギョッとして、慌てて座りなおす。
ドックンドックンって心臓が加速して、顔が熱い。
「あのルックスなら、もしかして私服ダサイんじゃないかって思ってたけど……。私服の方が断然いいとか、もうほんとなんなのって感じ」
「……たしかに」
白鳥百合の熱弁に、思わず頷いてしまう。
そうなのだ。
今日のセンパイは、当たり前だけど仕事着のスーツじゃない。
濃紺のダンガリーシャツに淡い色のベージュのパンツ姿と言うラフな着こなしの久遠センパイは、20代前半にも見えて新鮮だった。
「決めた。あたし、今日告白するわ」
「え、今日!?」
突然の宣言に驚いて顔を上げた。
同時に、白鳥百合は決意を秘めた瞳であたしを見据えた。