極上な恋をセンパイと。

少しだけ目にかかってる真っ黒な前髪。
その隙間から真っ直ぐに見据えられた。

長いまつ毛の奥の、色素の薄い茶色の瞳があたしを捕えて離さない。


そのガラス玉が、キラキラ眩しくて。
目の前がチカチカする。

息が、出来ない。


…………。

ドクンドクンドクン


心臓が、勝手に加速する。


センパイはジッとあたしを見上げている。
ただ、それだけなのに……。


あたし、なんでこんな。


「……まっ、待つというか、その、センパイに申し訳ないといいますか……」



な、なにこれ……。

その瞳の中に吸いこまれそうな感覚に、慌てて顔を背けた。


ボボボって真っ赤になったあたしの反応を見て、まるで楽しむかのように「ふん」って鼻で笑うと




「ジョーダンだよ」


って、そう言ってまたパソコンを叩きだした。


なに……よ。



「…………、お先です」

「オツカレ」



ペコリと頭を下げると、あたしは鞄をコートを掴んだ。

くるりと向きを変えると、そのまま廊下へ出る。



完璧、からかわれてる!
もぉ、なんなの、あの人はっ……!
自分の事ちゃんとわかってる。

顔がいいってわかってる!!

それにまんまとハマるあたしもどうかしてる。
真っ赤に染まる頬が、熱い。


コツンコツンってヒールの音がやたらに響く。
力なく立ち止まると、あたしは持っていたコートを羽織った。



「はああ……」



遊ばれてるんだ、絶対。

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