極上な恋をセンパイと。
「んもぅ、どこ行くんですかぁ?」
甘い猫撫で声。
―――ん?
思わず真山くんと顔を見合わせた。
声のした方を見ると。
え……。
く、久遠センパイっ!!?
思わず目を見開くと、さらにその後を小走りについて行く白鳥百合が姿を現した。
な、なんで?
回廊から少し入ったことろに、あたし達が座るソファはある。
だからきっと、ふたりはあたし達が見ていた事には気付いていない。
「ななな、渚さんっ!百合さんとセンパイどこ行くんですかっ?」
「ど、どこって……」
思いっきり動揺した真山くんが、あたしの体を揺さぶった。
「……」
……はっ!も、もしかして……。
そこでようやく昼間の白鳥百合との会話を思い出した。
『決めた。今日、告白する』
確かに白鳥百合はそう宣言していた。
だったら……今、あのふたりが抜け出すのは、どうしてなんて決まっていた。
うう……どうしよう。
このまま、白鳥百合が告白するのを黙って見逃すの?
それに……欲しいものはどんな手を使っても手に入れる、そう言っていたあの言葉。
……いつもとは違う環境が……男女に与える影響は……計り知れない。
「行こう!真山くん」
「へ?行くって……ちょ、待ってください渚さんっ」
あたしは居てもたってもいられなかった。