極上な恋をセンパイと。


「――で。お前らはいつまでそうしてるんだ?」



俺がそう言うと、まるで押し出されるように部屋のドアが空いた。



「うわっ!」

「きゃあ」



小さな悲鳴。

薄暗い部屋の入り口に、折り重なるようにして倒れ込んできたのは……。



「アタタタ……な、渚さん、すいません」

「うう」


頭を摩りながら顔を上げた真山と、下敷きになった佐伯のうめき声。


……こいつら、なにしてんだ。



「……」

「な、なんなの。アンタたち……」



茫然と呟いた白鳥。
その声に反応して、ガバリと顔を上げたのは、真山だった。



「ゆ、百合さんっ!」

「な、なによ……」

「俺は、百合さんが好きです!」

「は?」


アルコールのせいなのか、はたまたその『告白』のせいか。
薄暗い月明かりの中でも、真山の顔は上気していた。


「百合さんの事好きだから、ほんとは全部欲しいけど……でも俺!ちゃんと百合さんが俺を見てくれるまで待ちます! いくら百合さんが良いって言っても!俺、好きになってもらえるまで待ちますからっ!
それで、好きになってもらったら、絶対ぜったい大事にします!ぜったいですっ」

「……」


そう言いながら食ってかかりそうだな、なんて思う。

必死の形相の真山に押されながら、驚いたように身を引いていた白鳥百合。

そこでようやく、佐伯がのそのそと起き上がるのが見えた。

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