極上な恋をセンパイと。

「盗み聞きとは、お前ら悪趣味だな」

「えっ!?あ、その……すみませんでした」


ハッとして振り返った佐伯は、そのままシュンとうな垂れた。


反論しねーのか。
つまんねぇの。


「……」



腕を組んで、その後頭部を眺めていると、意を決したように佐伯が顔を上げた。







「でも……でも、どうしても気になって!」



見上げた瞳がユラユラ揺れてる。
唇は震え、今にも泣き出しそうだ。





「何が?」

「え?」

「何が気になったわけ?」



言ってみろよ、その口で。
お前の声で。

ハッとしたように、前のめりだった体を引いた佐伯。

震えていた唇を引き結んで、俯いてしまった。
その動きに合わせて、後れ毛がハラリと落ちた。


くそ……なんなんだ、その恰好は。
どうぞ襲ってくださいって言ってるようなもんじゃねぇか。

無防備にもほどがある。こいつはアホなのか?
そんなんで真山とふたりでいたとか……
危機管理能力どうなんってんだ。


むかつく。


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