極上な恋をセンパイと。
俯いたままの佐伯に近ずくと、その手首をぐいっと引き寄せる。
驚いた佐伯が、ギョッと俺を見上げた。
その瞳には、困惑しかない。
なんだよ。
……課長といる時は、もっと……。
って、俺もアホか。
こんなしょーもない事をイラつく理由にしてんのが、自分でも呆れる。
「そ、その……白鳥さんが……」
「白鳥? 白鳥が何?」
思い切り意地悪く目を細めて、口角を吊り上げれば。
佐伯は「う」とたじろぐ。
ったく。
……んな顔で俺を見といて、白鳥のせいにしてんじゃねーよ。
薄暗い部屋。
月明かりい照らされたその頬に、俺はそっと手を伸ばした。
流されるだけの関係ならしない、そう思っているのに。
こいつを前にすると、それが揺らいでしまう。
それでも近づいてしまう。
気が付いたらこの様だ。
この俺が、だぞ。
……本当、どうかしてる。
どうしてくれんだ、佐伯。