極上な恋をセンパイと。
別に男の人に、かわいいって思われたいわけじゃない。
合コンしてるわけじゃないんだし。
だけど、仮にも会社で有名で人気者のセンパイにグイグイビール飲む女って思われた……。
「イズミは、何飲むんだ?」
「俺も生、いただきます」
「おい、空いたグラスない?」
背広を脱ぎながら、久遠センパイはあたしのとなりに腰を落とした。
「……」
……なぜ横!
空いてるんだから、もっと他のとこに座ってよぉ……。
部長にグラスを受け取った久遠センパイに、あたしはビール瓶を向けた。
「……センパイ、お疲れ様です」
「ああ、サンキュ」
センパイはいっぱいになったビールをあっという間に飲み干した。
それを眺めながら、あたしはセンパイに声をかける。
「あの、お仕事終わったんですか?」
「まーな。 でなきゃ来てねぇよ」
ですね……。
あはは。
野暮な質問すみません……。
まあ、一言多いんですけどね!?
ピクリと頬が引きつりそうになりながら、センパイの空いたグラスにまたビールを注ぐ。
なんてゆーか、こう突っかかるんだよね。
いちいち言い方が……。
当の本人は、全くの無自覚。
ほんと、仕事以外には気が回らないらしい。
美味しそうにビールを飲む横顔をジロリと睨んでみた。
……もちろん、気付かれないように。
久遠センパイが来たころにはすでに、ほかのセンパイ達は出来上がっていて。
気付いた時には、課長とあたし。
それからセンパイだけが、静かに飲んでるって状況になっていた。