極上な恋をセンパイと。
ボーっとしていたその時。
「ずいぶん暇そうだな」
低くて身震いをしそうな……そんな声と共に、いきなり目の前に山積みの資料が現れた。
!
ギョッとして、資料の間から顔を上げる。
するとそこには……鬼の形相をした……
「く、久遠センパイ……」
「――喜べ。 暇なお前に仕事をやる」
「ひ、暇なわけじゃありませんっ!」
ちょっと集中できないだけで……。
チラリと見上げると、グッと目を細めたセンパイと目が合う。
「……」
「……」
出たな。……無言の圧力!
『口答えすんな』って、まさにそう言ってる。
どんどん血の気が引いていくのを感じて、あたしはフルフルと首を振った。
ダメダメ。
しっかりしなきゃ!
やってやる!全部やってやるー!
「これ、まとめればいいんですね!」
長い髪をひとつにくくると、キュッと腕まくりをした。
仕事しなきゃ。
それに、宇野浩介って言ったって、同姓同名の他人かもしれない。
必死にパソコンにかじりつくあたし。
そんなあたしを見つめる視線があったなんて、その時は全然気がつかなかった。