極上な恋をセンパイと。
「それにしても、この前のゴルフ凄かったですね」
「ああ、雨の中やったアレな」
部長と浩介は、どうやら以前から顔見知りのようだ。
聞く話によると、去年の今頃に村尾さんに紹介されたんだとか。
それからふたりは、公私ともに気兼ねなく付き合える仲になったらしい。
あたしはふたりにお酌しつつ、高級料理を堪能していた。
ふたりの話は面白い。
聞いてるだけでも可笑しくて、つい口にだして笑ってしまった。
「ほんと渡部さんは大人げないところがあるからなぁ。奥さん心配するでしょ」
「おいおい。こんなに落ち着いてる俺のどこが大人げないって?うちの奥さんは俺にベタ惚れだぞ」
「それです。それが大人げないって言うんです。だから俺いつも奥さんに見張っとけって言われるんですよ」
へえ……渡部部長。
奥さんには頭上がらないんだ。
なんか意外。
ふふって含み笑いしながら、ビールの入ったグラスに口をつけた。
あれ、もうないや。
えっと、ビールはっと……
「佐伯さん」
?
すると、すぐに目の前にビール瓶が差し出された。
さらに視線をあげると、浩介がビール瓶を持ってニコリと微笑んだ。
「あ、すみません」
「いえ。お酒、好きなんですね」
「あはは……はい」
並々に注がれたビールに口をつけながら、苦笑いを零した。
浩介とは、お酒飲みに行ったりとか、どこかへ出かけるなんて事、しなかったもんね。
なんてぼんやり考えていると、突然スマホの着信音が狭い個室に響いた。