極上な恋をセンパイと。
「あたしもすっごくビックリした。宇野浩介って同姓同名の別人かと思ってたのに。いつこっちに帰ってきたの?」
口から出てきたのは、自分でも驚くくらい自然な言葉だった。
「1年前かな。
俺も。別人と思ってたのに、やっぱり本人なんだもんな。渚の焦ってる顔みたら、思わず吹いちゃいそうでこっちが焦った」
「あはは。ごめん」
肩の力を抜いて、大きく息を吐いた。
知らず知らずにすっごく気を張ってたみたい。
やっと息が出来た、そんな感じに肺が空気で満たされていく。
「渚がこんなに酒に強いとは思わなかった」
「飲みに行った事なかったもんね。強いわけじゃないよ?好きなだけで」
「渡部さんはとんでもない酒豪だって言ってたぞ?」
「もお、会社でもあたしその称号つけられてるんだけど」
「いーじゃんか。付き合いいい女で」
箸で料理をつつきながら、浩介が可笑しそうにそう言った。
それって……あたしってやっぱり都合いいって言うのかな。
「……」
「渚? どうした?」
いきなり無言になったもんだから、不思議そうに浩介が覗き込んでくる。
「……うんん。なんでもない」
「……」
コクリとビールを飲みこむと、ほろ苦い香りだけが口の中に広がった。
そんなあたしに、浩介が一言。
「―――お前、変わってないんだな」
……え?