極上な恋をセンパイと。
「変わって……ない?」
今度はあたしはキョトンとする番。
浩介はおしぼりで口元をぬぐうと、真っ直ぐにあたしを見た。
「肝心な事は心にしまう。言いたい事、半分も言えない。相手を気遣ってるつもりだろうが、それは自己防衛だぞ?」
「……」
「自分が傷つきたくないんだ」
身体の中心を、刃でえぐられたような感覚に茫然と浩介を見つめた。
固まっているあたしを見て、浩介はふわりと笑い頭の上にポンと手のひらを乗せた。
「ま、俺はそこは可愛いと思ってたんだけど」
「……」
と、その時だった。
個室の襖があいて、ああやっと部長が帰ってきた……。
そう思って顔を上げたあたしは、思わず息を呑んだ。
だって……だってそこにいるのは、紛れもなく。
久遠和泉その人だったのだ。
え、なんで久遠センパイが……?