極上な恋をセンパイと。
「あれ?久遠じゃないか。久しぶりだな」
「お久しぶりです」
えっ、え?
このふたりも知り合いなの?
まったくの無表情の久遠センパイと、元カレ浩介の顔を交互に見た。
「……」
何も言えず黙っていると、センパイはさっさと目の前の空いている席へと座る。
「せ、センパイはどうしてここへ?」
思わず身を乗り出して聞くと、落としていた視線を上げたセンパイと目が合った。
「……お前こそ、なんでここにいんだよ」
「えっ!!?」
な、なんで?
ギョッとして目を見開くと、イジワルに目を細めたセンパイがジロリトとあたしを見降ろした。
「よくあんだけあった仕事片づけたな。いつもこんくらいやる気だせ」
「は? な、何言ってんですか。いつもやる気いっぱいですよ!」
「ふーん。へーえ。そうなんだ」
「……」
む。
なんでそんなに意地悪なんだ、この人は!
ジトーっとセンパイを睨んでいると、ようやく部長が戻ってきた。
「おお、イズミ!悪いな」
「……いえ。 ちょうど帰るところでしたから」
部長にも、なんだか不機嫌にこたえる久遠センパイ。
部長が呼んだんだ……。
……くっ! 部長、余計な事をっっ!
あたしは皆に気付かれないように小さくため息をついて、ビール瓶に手を伸ばした。