極上な恋をセンパイと。

「あれ?久遠じゃないか。久しぶりだな」

「お久しぶりです」



えっ、え?
このふたりも知り合いなの?

まったくの無表情の久遠センパイと、元カレ浩介の顔を交互に見た。


「……」


何も言えず黙っていると、センパイはさっさと目の前の空いている席へと座る。


「せ、センパイはどうしてここへ?」


思わず身を乗り出して聞くと、落としていた視線を上げたセンパイと目が合った。



「……お前こそ、なんでここにいんだよ」

「えっ!!?」


な、なんで?

ギョッとして目を見開くと、イジワルに目を細めたセンパイがジロリトとあたしを見降ろした。



「よくあんだけあった仕事片づけたな。いつもこんくらいやる気だせ」

「は? な、何言ってんですか。いつもやる気いっぱいですよ!」

「ふーん。へーえ。そうなんだ」

「……」



む。

なんでそんなに意地悪なんだ、この人は!



ジトーっとセンパイを睨んでいると、ようやく部長が戻ってきた。


「おお、イズミ!悪いな」

「……いえ。 ちょうど帰るところでしたから」


部長にも、なんだか不機嫌にこたえる久遠センパイ。

部長が呼んだんだ……。



……くっ! 部長、余計な事をっっ!

あたしは皆に気付かれないように小さくため息をついて、ビール瓶に手を伸ばした。




< 169 / 243 >

この作品をシェア

pagetop