極上な恋をセンパイと。
「”偶然”だな。今帰り?」
「え?あ、うん」
偶然?
浩介の会社は駅からもっと南のはずだ。それにマンションだって……。
ああ、もしかして引っ越したとか?
だったらうちの会社の前を通ってもおかしくない。
「じゃあ偶然のついでに飯、行こうよ」
「へ?」
浩介がここにいてもおかしくない理由をグルグルと考えていて、思わずうわずった声を出してしまった。
「腹減った顔してるぞ?」
「えっ……で、でも、」
「ほらほら。昨日話せなかった懐かしい話もしたいし。付き合ってくれよ」
は?
ないっ!全然したくない!
肩を抱こうとする浩介をかわそうと、身を引いた。
それでもすぐに長い腕に捕まってしまい、あたしはズルズルと引きずられるようにしてご飯に付き合うハメになってしまった。
結局その日、浩介から解放されたのは、終電ギリギリだった。