極上な恋をセンパイと。
◇
早朝。
あたしはいつもより早く出勤して、センパイを待つことにした。
受付けには、まだ白鳥百合の姿は見当たらない。
ロビーを抜けて、いくつもあるエレベーターの一つに並んだ。
すぐにエレベーターが来て、扉が開く。
もちろん、誰もいない。
ガラス張りの窓からは眩しい朝日が差し込んでいた。
ちょっとだけそれに目を奪われながら、そっと乗り込む。
たまには……。
早朝出勤もいいもんね。
こんなふうにエレベーターを独り占めする事なんて、滅多にないもん。
ぼんやりと外を眺めていると、31階よりもずっと手前で止まった。
?
胃の浮く感覚がして、扉に視線を上げた。
ゆっくりと開いた向こう側に現れた人物に、息が止まった。
「……あ……」
「……」
それは、正真正銘。
待ち伏せしようとしていた、久遠センパイ。
真っ白なシャツ姿に、緩んだネクタイ。
少し疲れた真っ黒な髪。
一瞬視線が絡み合って、でもそれはすぐに逸らされた。