極上な恋をセンパイと。
「……そろそろお開きにしねぇ?」
その声につられるように顔を上げると、面倒くさそうに首を回してるセンパイがいて。
あ、センパイナイスタイミングです!
「ええええ? まだこれからっすよぉ。次行くでしょ?次!」
「行くなら勝手に行け。 俺は帰る」
駄々をこねる真山くんなんて構わずに、センパイは上着を羽織った。
「えええええ?センパイが来てくれなきゃ、誰が飲むんですか?」
なぁーんだ……。
『もしかして』なんて思っちゃったじゃない。
センパイは、あたしの思ってる事、ちゃんとわかってくれて。
それで、お開きにしようって言ってくれたって。
そう思っちゃった……。
あ~あ。
あたしも帰りたいです。
気付いたらもうとっくに12時回ってる。
夜更かしはお肌の大敵なんですからねー。
なんて思いながら、センパイの背中をぼんやり眺めていると、急に誰かに腕をガシっと掴まれた。
「!?」
「……渚さんっ! 渚さんもそう思うでしょ?」
「へ?」
ギョッとして見ると、目を真っ赤に充血さけた真山くんが、なぜか必死な顔をしてあたしを覗き込んでいた。
……ち、近い、近いんですけど!
しかも、お酒臭いっ!
「……えーっと?」
ぼーっとしてて、話をちゃんと聞いてなかった。
身を引いたあたしは、苦笑いを返しただけで、言葉に詰まってしまった。
その間も真山くんはその距離を詰めてきて……。
いつの間にか両肩を掴まれて、逃げる隙をなくされてしまった。
「渚さんだけでも付き合ってくださいよ~。せっかくの親睦会なんですから~」
「……で、でも」
そんなふうに見つめられたら断るにも断れないじゃない~!
泣きそうな真山くんの視線に負けて、頷きそうになった。