極上な恋をセンパイと。
「ここ、一回来てみたかったのよね~。わ、このオムライス卵ふわっふわ」
「ほんとだ。百合さんのマジ美味そう」
「あげないわよ」
「!……そそ、そんな事別に、俺っ……ねえ、渚さんっ」
「……」
「渚さん?」
ひょい!っと真山くんのハニーブラウンの柔らかな髪が視界に入った。
あたしはキッと顔を上げると、人差し指を口元にかざす。
「しーー!静かにしてよ、聞こえちゃったらどーするの?」
「へ?」
「え?」
もぉ!
キョトンと首を傾げたふたりをさらに睨むと、あたしはなるべく肩身を寄せた。
なんでこんなことになってんの?
ほんと、白鳥百合って何考えてんの?
本当にオムライス食べたかっただけだったら、タダじゃおかないんだから!
やたら小さなグラスを手に取ると、それを一気に飲み干した。
ここは、あたし達の会社から少し離れた駅近くの小さなカフェレストラン。
店内は木目調で統一されていて、まるで森の中にいるような雰囲気のほっこりとした優しい造りになっていた。
テーブルも椅子も木のぬくもりがあって、その一つ一つを照らすランプにもツタが絡み合っていてすごく素敵。
「お水も美味しいし……」
って、感心してる場合じゃなかった。
あたしはグラスを置いて、手元のキッシュにナイフを入れながらこっそりと後ろを振り返った。