極上な恋をセンパイと。
―――と、その時。
グイッ
「きゃ……」
真山くんに掴まれていた腕とは反対の腕を掴まれて、引き寄せられた。
なぜかその瞬間、スローモーションに感じてしまって。
おろしていた長い髪が、ふわふわと揺れてるように見えた。
―――トン!
強い力で引き寄せられて、そのまま誰かの胸に背中が触れる。
茫然として見上げると、
そこには目を細めたセンパイの顔が近くにあって。
……く、久遠、センパイ?
「佐伯、お前タクシー呼べ」
「……え……」
た、たく……
すぐにはセンパイの言ってる意味が理解できなかった。
こんなにお酒とたばこの匂いで充満してるって言うのに、センパイの甘い香水の香り……はっきりわかる。
そのせいなの?
あたしを覗き込むように見るセンパイから目が逸らせない。
ドク……
ドクン ドクン ドクン ドクン