極上な恋をセンパイと。
その手を、浩介がそっと包み込んだ。
「そんな今すぐって訳じゃない。来年度から、俺と一緒に仕事しないか?」
「で、でも」
「返事はすぐじゃなくていいんだ。
ちゃんと、渚が考えて決めて欲しい」
そんなの……。
決まってる。
決まってるハズなのに、どうして即答できないの?
それから。
どうやって家まで帰ってきたんだろう。
気がついた時には、見慣れた自分の部屋にいて、呆然とソファに座っていた。
現実なのか、そうじゃないのか。
それすら曖昧で……あやふや。
久遠センパイの元を離れて……浩介と働く?
あたしには、久遠センパイが全てだった。
目標であり、憧れであり……。
……そして、好きな人。
『今の会社辞めて、俺のところに来ないか?』
特別な事じゃないって感じで言った浩介。
その彼の言葉が、頭の中で何度も何度も、浮かんでは消えていた。