極上な恋をセンパイと。
……あれ?
なんか変。
急に、動悸が…………。
今頃お酒が回ってきたのかな……。
ほら、センパイがいきなりバランスを崩すような事するから。
「んだよ、お前も酔ってんのか?」
瞬き、してなかったかも。
おかしそうに口元を緩めたセンパイは、そう言って掴んでいたあたしの手を離した。
「だ、大丈夫です!」
なんなんだもう!
センパイは、顔がいいって自覚してるわりに行動がそこに追い付いてないです!
そんな距離の詰め方ありますか!?
わざと?それとも無自覚なの!?
説明できないんですけど?
ひとりで焦ってる自分が恥ずかしくて、真っ赤になった頬を隠すように慌てて立ち上がった。
「ええ~?ほんとに帰るんですね……。 時東課長! 課長はまだ飲みますよね?」
「……真山くん、若いからって明日辛くないですか」
呆れたような課長の声を背中に聞きながら、あたしはパンプスを履くとスマホを取り出した。
はあ……。困ったな。
真山くんと飲みに行く時は気をつけなくちゃ。
電話を終えて戻ると、すでにウトウトしてる真山くんが目に入った。
「真山くん、ちゃんと帰れるでしょうか」
そう言うと、課長が真山くんの肩をポンッと優しく叩いた。