極上な恋をセンパイと。

……あれ?
なんか変。


急に、動悸が…………。


今頃お酒が回ってきたのかな……。
ほら、センパイがいきなりバランスを崩すような事するから。




「んだよ、お前も酔ってんのか?」



瞬き、してなかったかも。

おかしそうに口元を緩めたセンパイは、そう言って掴んでいたあたしの手を離した。



「だ、大丈夫です!」



なんなんだもう!
センパイは、顔がいいって自覚してるわりに行動がそこに追い付いてないです!
そんな距離の詰め方ありますか!?

わざと?それとも無自覚なの!?
説明できないんですけど?

ひとりで焦ってる自分が恥ずかしくて、真っ赤になった頬を隠すように慌てて立ち上がった。



「ええ~?ほんとに帰るんですね……。 時東課長! 課長はまだ飲みますよね?」

「……真山くん、若いからって明日辛くないですか」



呆れたような課長の声を背中に聞きながら、あたしはパンプスを履くとスマホを取り出した。


はあ……。困ったな。
真山くんと飲みに行く時は気をつけなくちゃ。

電話を終えて戻ると、すでにウトウトしてる真山くんが目に入った。



「真山くん、ちゃんと帰れるでしょうか」



そう言うと、課長が真山くんの肩をポンッと優しく叩いた。


< 20 / 243 >

この作品をシェア

pagetop