極上な恋をセンパイと。

年末という事もあってか、いつもよりも毎日が慌ただしく過ぎ去った。



「変じゃ……ないよね」

姿見の前で、念入りにチェックする。
私服で会うのは初めての事じゃないけど、オシャレなセンパイと出かけるんだから油断できない。

膝上のワンピース。
ミリタリーコートを羽織って、マスタード色のショルダーをかけた。
地味過ぎず、派手過ぎず。
アクセントのカラーも入れて。


「髪も、いいよね」


編み込んで、まとめた髪に触れてバランスを見ながら後れ毛を出した。

高すぎないヒールを履いて、あたしは外へ飛び出した。


12月も後半。
すっかりと真冬の気配を漂わせる朝。

心なしかフワフワしている体に、冷たい空気が心地いい。


青く澄んだ空を見上げて、深く息を吸い込めば新鮮な空気が肺を満たした。









クリスマス目前の週末。
まだ10時前だと言うのに、駅前は物凄い人で溢れかえっていた。

待ち合わせ場所についたのは、きっちり10分前。
この辺で待ってればいいかな。

空いているベンチを見つけ、そこにいようと一歩踏み出した時だった。



あれ?


駅の構内を出て、すぐ。
見覚えのある後姿を見つけて、固まった。




「せ、センパイ!」


柱にもたれるようにして立っていたセンパイが顔を上げた。


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