極上な恋をセンパイと。

ギョッとして見上げると、あたしの手を引いてるのは久遠センパイ。


なに?
なんで?


またしても強引に連れて行かれそうになって、慌ててその手を引いた。


「ちょ、あの!センパイ?」

「なに」


なに?

なんだかものすごく不機嫌なんですけど!

振り向きもせずに言われ、押し黙る。


「ちょっとぉ、イズミどこ行くのよ~」


そんなあたし達の後を、美優が文句を言いながら追ってきた。
すぐにタクシーを拾ったセンパイに、その中に押し込まれた。



「わッ」


バランスを崩しながら乗り込んで、バッと振り返る。

すると、すぐさま美優が続いた。


「はあ、寒かった!」


ええええ?

わけがわからずに茫然としていると、当たり前のように助手席に乗ったセンパイが運転手に行先を告げる。


滑るように出発したタクシーに揺られ、頭の中が真っ白になった。



……なにこれ……。





それからほどなくして一件のお店についた。
駅からさほど離れていないそこは、赤いのれんが印象的なラーメン屋で……。



「チャーハンセットはどちら?」

「あ、はい」


言われるがまま手を挙げて、ハッとした。



……ってか、なんでラーメンッ!!?



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