極上な恋をセンパイと。
「こぼしてんぞ。いいからゆっくり食え」
「……」
ドキン。
そんな、優しい目で見ないで下さい……。
口の中のチャーハンが、急に味をなくしてしまったみたいだ。
モグモグと何とか飲みこんで、グラスに手を伸ばす。
照れくさくて、俯いていると。
その空気を消し去る声が響いた。
「わぁ、この醤油ラーメンもすっごく美味しいわよ?ね、イズミ」
「お前そんな食えんのか?」
「食べられるわよ。そのイズミの豚骨、味見させてくれない?」
「それはいいけど……なあ、美優お前さ」
「あーーん」
半ば強引にそう言って、美優はセンパイに向かって口を開けた。
……自分で食べればいいのに。
ラーメンとか食べさせずらいでしょーが。
そう思っていると、呆れたようなセンパイの声が聞こえた。
「ったく……しょーがねぇなぁ……ほら」
「ん……んんっ、すっごく濃厚ね」
「でもウマイだろ」
「んー。美味しいけど、やっぱりわたしは醤油の方が好きだわ」
「はは」
楽しそうに笑い合うふたりから、視線を落とした。
センパイは、この人の前ではあの笑顔を見せるんだ……。
てか、誰にでもあーゆうことしちゃう人だったんですね。見損ないましたよ。
……パク。
チャーハン……美味しいな。
「……」
舌の上の上を滑ってくそれは、すでに味をなくし。
ただ、喉を通ってくだけだった。