極上な恋をセンパイと。
「俺が送っていきますから、大丈夫ですよ」
「……はい。お願いします」
眉を下げてにこりと笑った課長。
キレイな顔がクシャって崩れた。
……優しい人だなあ……。
ふらふらの真山くんを支えるように立ち上がった課長の背中を眺めながら、なんだか胸の中がほっこりあったかくなった。
ウトウトしていた柘植さんや部長をなんとかタクシーに乗せて、課長たちも同じタクシーに便乗していった。
「ふう……」
思わずため息を漏らす。
まだこないタクシーを待っていると、不意に背後に人の気配を感じた。
「お前の家、どっち?」
「え?……あ、」
振り返ると、ガードレールにもたれかかる久遠センパイがあたしを眺めていた。
センパイ、まだいたんだ……。
「N区です」
「ふぅん」
ふーんって。
興味ないなら、どうして聞いたんですか。
そう言ったセンパイはジャケットのポケットから煙草を取り出した。