極上な恋をセンパイと。
◇
―――クリスマス。
クリスマスと言えば、家族。
いつからかな、家族が集まってクリスマスパーティしなくなったのって。
駅前のロータリーは、たくさんのカップルで溢れかえっていた。
「……浮いてる」
ひとり立ちすくむあたしは、もちろん浮いていた。
行き交うカップルたちの好奇の目。
ち、違うの!
あたしは人を待ってるの!
別にひとりってわけじゃないんだから。
……ひとりでもいいんだけど。
首に巻いたストールで口元まで覆うと、そこから漏れた白い息がふわりと浮かび上がった。
時計を見ると、19時を回ったところだ。
……会議、まだ終わってないよね。
定例会議だって、長引くと時は3時間とか平気でかかるんだし。
「……」
はあ……。
知らず知らずにため息をついて、慌てて首を振った。
大丈夫。
絶対大丈夫。きっとうまくいく。
自分に言い聞かせるように頷いて、顔を上げたその時。
見覚えのある顔が、慌てて走ってくる姿が見えた。
やっと来た。
「浩介!」
あたしがパッと手を挙げると、すぐに気が付いた浩介が安堵の笑みを零した。