極上な恋をセンパイと。
え、ま……まさか、これはお手?
「あの、センパイ……?」
「お前、俺を追いかけるって、本物のハチ公にでもなるつもりか?」
「へ?」
ハチ公……?
真っ赤になったあたしを見て、「はは」なんて笑うセンパイをジトッと睨む。
「……意地悪ですね」
「お前は可愛いな」
「えっ」
不意打ちの言葉に思わず声を上げた。
か、か、可愛い?
聞き間違えなの?
「あ、あの?」
思いっきりしどろもどろになったあたしの手を引いて、センパイが歩き出す。
フワフワ揺れる真っ黒な髪。
そのえりあしがすっごく可愛くて……悔しいけど、何も言えなくなってしまった。
キラキラと宝石のように輝く、光のトンネル。
どこまでも続く街路樹に施された電飾。
まるで夢の世界にでも迷い込んでしまったような、そんな気さえしてしまう。
センパイに手を引かれ、そっと空を見上げれば。
真っ白な息が、フワリと現れて消えた。
そうして……。
あたしが連れて来られた場所は……。