極上な恋をセンパイと。

そして。
確認するように、もう一度。



「お前を 抱かせてくれ」



ゆっくり、距離を詰めるセンパイ。
冗談みたいなセリフなのに、大真面目な顔で言うから一瞬ポカンとして、でもすぐに笑いが込み上げてきた。



「ふふっ、……あはは」



たまらず吹き出すと、センパイの表情がムッと歪む。



「……なに笑ってんだよ」

「いえ。センパイは、やっぱりセンパイなんだなって」



だって、抱かせろだなんて。
そんなぶっ飛んじゃうような言葉さえ、センパイらしいって思えちゃうなんて。



一歩、また一歩。

慎重に、でも確実に。
センパイは伏し目がちにあたしをのぞきこむと、さらにその瞳を細めた。



「……それやめろ」

「え?」

「その、センパイっての」


センパイは、センパイなのに……。
思わず口をつぐんだあたしを追いやるように、センパイは手を伸ばす。

その手はあたしを通り越して、トンと壁をついた。


「……」


いつの間に。


気が付いたら、真後ろに壁。
目の前にセンパイ、と言ういつもの構図が出来ていて。

オズオズと視線を上げた。


< 230 / 243 >

この作品をシェア

pagetop