極上な恋をセンパイと。

すっかり怯えたあたしにセンパイの手がふわりと触れた。
頬を撫でる指先が、そっと唇を這う。



「ま、いいや。嫌でも言わせてみせるし」

「へ? それ……どういう」



唇に触れていた手が、耳たぶにそして長い髪をすくい上げる。


「たっぷり甘やかしてやるよ。俺の名前呼ばずにいられないほど、な?」

「う……」



耳元で囁くように言われれば、条件反射のように体がアツくなる。
唇が触れそうな距離で、センパイはジッとあたしを見下ろした。



「……」

「……」



まるで……オアズケされてる気分。

ジワリと視界が緩んで、震える唇をキュッと引き結んだ。



そんなあたしを眺めていたセンパイ。
瞬きするたびに、フルフル揺れてそして……まるで蜂蜜みたいに甘ったるい声であたしを誘惑する。



「俺に溺れろよ、渚」

「え?」

「大丈夫だ。お前をまるごと全部受け止めてやるし」

「……」



ハッとして、目を見張ったあたしに、センパイはチュッと啄むようなキスを落とす。



恋に、溺れるのは……
怖い。


それは、あたしがずっと思っていた事。

どうしてそれを、センパイが……?
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